smh / 清暉穿石

美しい大理石も、その様相を保ったまま建築空間に存在させることは難しい。採掘前の大理石はその美しい模様を顕現させていないし、加工され無造作に床や壁に張られた大理石はその美しさやダイナミックさが消失しています。 マンションの一室リノベーション。まずは全体を美しい様相を保つ大理石の量塊と見立て、そこを限られた外壁開口からの自然光でラフに穿ちます。続いて照明による光で、居住空間に必要な機能要素を組み込むための繊細な分節をおこない、最後に大判タイルをその大理石模様が連続するよう床、壁に張りました。 大理石模様の連続性は閉塞的になりがちなマンションの内部空間に流動性を与え、豊かな居住空間を生み出しました。 澄みきった清らかな光が空間の中に純粋に表現されるようシンプルさを徹底した設計手法、涓滴が岩を穿つがごとく地道な検討の上にこの空間が成り立つ様子をプロジェクトの副題にしています。