ブース邸
「スタイル面で専門家がよく話題にするのは、この家の高さと、暖炉付きの屋上デッキ。ライトの設計にしてはとても珍しいからです」とソニアさんは言う。「屋上デッキは、峡谷を見下ろせる彫刻庭園にするというのがライトの意図だったようですが、私たちは単にデッキとして使っていました。」 シャーマン・ジュニアさんがソニアさんに語った話によると、父のシャーマン氏は、息子たちを鍛える必要があると考え、寒い時期に屋上デッキの簡易ベッドで眠らせたこともあると言う。もしかすると父のシャーマン・ブース氏は、当時流行していた野外教育運動の推進派だったのかもしれない。シャーマン・ジュニアさんがソニアさんに語った話によると、父のシャーマン氏は、息子たちを鍛える必要があると考え、寒い時期に屋上デッキの簡易ベッドで眠らせたこともあると言う。もしかすると父のシャーマン・ブース氏は、当時流行していた野外教育運動の推進派だったのかもしれない。
2016年、イリノイ州グレンコーにあるフランク・ロイド・ライト設計の《シャーマン・ブース邸》は100周年を迎えた。その100年のうち半分をこの家で暮らしたのが、ソニア・ブロックさんだ。 1967年、この家の内見に来たソニアさんと夫のテッドさんは、荒れ果てていたこの家の姿のなかにも、本質的な美しさを見抜き、すぐに購入を決めた。そしてふたりは、半世紀にわたり修繕とメンテナンスを続け、オリジナルのディテールを維持し、ライトが選んだ立地の美しい景観を楽しみながら暮らしてきた。この住宅には興味深い歴史があり、ライト誕生から150年の今日まで、グレンコーの町の影響力ある存在であり続けている。 保存 メール どんなHouzz? 住まい手:最初のオーナーはシャーマン&エリザベス・ブース夫妻。1967年から最近まで、ソニア&テッド・ブロック夫妻が修復しメンテナンスしながら暮らしてきた。テッドさんが亡くなり、現在は170万ドルで市場に出ている。 所在地:イリノイ州グレンコー 建築家:フランク・ロイド・ライト 竣工年:厩舎と管理人用コテージは1912年に完成、現状の家になったのは1916年。 注目ポイント:最終的にライトは、この敷地内にひとつの集落をまるごと設計しており、その中にはライトが完成させた最初の橋も含まれている。もうひとつだけライトが設計し実現した橋は、落水荘の私道の一部としてつくられたもの。
マスターベッドルームには、ライト設計のランタン型照明が2つあり、家の角を包み込むように窓がある。ライトは角の扱いに細心の注意を払っているが、それはソニアさんがこの家から学び、ずっと意識していることだという。「どこかに出かけて、美しくないコーナー部分やスペースを目にするたびに、この家ではいたるところが完璧だと、改めて思い出すんです。」 縦に長いブース邸は、老後を過ごす場所としては平屋のプレーリーハウスほど適していない。そのため、ソニアさんはこの家を売りに出し、ライトの名作建築で暮らすチャンスを次のオーナーに譲ることに決めた。次の住人も、ソニアさんやテッドさんが何十年も続けてきたのと同じように、この家を大切に愛し、美しく保っていってくれることを願いたい。 見学インフォメーション:グレンコー歴史協会には、この地域でライトが手掛けた住宅、道路名の表示版、橋などの素晴らしい写真が所蔵されているほか、住宅ウォーキングツアー用の地図も用意されている。
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