kazumasaさんのアイデアブック
敷地の斜面の勾配に沿って緩やかに上っていくL棟の壮大なリビング。天井高は、最大7.9メートル。木の軸組あらわしの天井や、中庭の景色を取り込むダイナミックな開口は、迫力満点だ。「お施主様との最初の打ち合わせが、ハイアットリージェンシー箱根のロビーラウンジでした。いきなり『こういう空間が欲しい』と言われ、驚きました」と津野さん。住宅をホテル風建築にすると、「体育館のようになりかねない」。そこで、敷地の傾斜にそって段差を設け、各フロアにダイニング、ライブラリー、バーラウンジなどエリアの特性を持たせた。フロアごとの段差は60cm。そこに30cmの階段兼ベンチシートを設置し、クッションを配することで、各エリアを穏やかにつなげている。
国立公園区域のため、敷地内の全木を調査して環境省に報告した。通常の建築確認申請に加え、同省の細かい基準や運用規定ラインを考慮しつつ、「何十回も模型を作り直した」という津野さん。地盤を丁寧に読み解き、従来の水の流れや樹木の位置などをなるべく変えずに、森を囲むプランに辿り着いた。
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